一級建築士の製図を2時間で描き切る|5回目合格者が実践した作図時短術

「作図時間が短くならない」
「作図が大変で辛い」
「効率よく作図できるようになりたい」

私も以前はまったく同じ悩みを抱え、何時間も机にかじりついては
「これじゃ本番で間に合わない…」と焦っていた時期がありました。

でも、5回の受験を経て試行錯誤を重ねた結果、合格年には、製図試験を2時間で作図完了できるようになりました!

ara

こんにちは、一級建築士のaraです。
私はゼネコンの現場監督として働きながら製図試験に挑み、5回目で合格しました。

この記事では、私が遠回りしながら掴んだ
作図スピードを劇的に上げる具体的なコツ」を全てお伝えします。

読み終わる頃には、以下の状態になると思います。

  • なぜ自分の作図が遅いのか、その原因が明確になる
  • 明日の練習から取り入れられる時短テクニックが手に入る
  • 「本番までに間に合うかも」という確かな手応えを掴める
この記事の結論

一級建築士製図試験の作図は、工程の固定化と縦横一気書きで2時間に短縮できます。

本記事では、5回目の挑戦で合格した筆者が実践した8段階の作図工程と、各工程の具体的な短縮テクニックを公開します。作図を2時間で終わらせれば、合格に必要な見直しと修正の時間が確保できます。

目次

作図工程を無意識でできるよう覚える

柱・寸法から室名・什器・植栽まで、平面図が段階的に描き上がっていく作図工程の流れ

初めて製図をしたときトレースをしたと思いますが、時間が5時間以上はかかったのではないでしょうか?

そのときの作図は闇雲に柱を書いたり、壁を書いたり、文字を書き込んだり。

また何を次に書いたらいいか、参考図を随時確認しながら作図をしていたと思います。

そのやり方では作図に時間がかかります。

作図練習をするうちにもっと効率よくかけるようになってくると思いますが、一番重要なことは作図工程を無意識で行えるようになることです。

私のおすすめの作図工程と時間割

工程時間累計
①柱、寸法、面積15分15分
②壁、サッシ下線、吹抜け20分35分
③壁、階段、EV20分55分
④断面図(文字以外)15分1h10分
⑤法規
(防火設備・延焼ライン・避難経路)
10分1h20分
⑥外構部(植栽以外)5分1h25分
⑦室名、什器30分1h55分
⑧補足表記、植栽5分2h

①柱、寸法、面積

柱と寸法の下線については、位置出しを定規で一気に行います。

私はヘキサスケール(30cm)というもので位置だしを行い、36cm三角定規で縦線、平行定規で横線の通り芯(下線)を一気に書きます。

ara

各図を一気に書くところスピードアップのポイントです。

平行定規に載せた製図用紙と、柱を打つためのバンコ三角定規(テンプレート)

次にバンコの三角定規(テンプレート)で柱位置を書いていきます。このときも左から柱を描き始めたら右で折り返し、動作を止めることなく効率的に書いていきましょう

柱位置は全て描き終わったあとに、もう一度間違いないか、通り芯とのずれ・エスキス用紙との相違がないかしっかりチェックしてください。ここで間違えると大幅な手戻りとなります。

ara

屋根の部分や無柱箇所はあらかじめ×などでマークしておき、手戻りがないようにしましょう

▼ヘキサスケール・バンコ三角定規・平行定規など、私が実際に使っている道具一式は、下記の記事でまとめています。


あわせて面積表にもこの段階でエスキス用紙にメモしている内容に漏れがないか確認して記載します。

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建築面積の庇、延床面積の吹き抜けなどは忘れがちなので注意しましょう

②壁、サッシ下線、吹抜け

壁とサッシの位置をフリーハンドの下線で描き込んだ段階の平面図

壁とサッシはいきなり書き始めるのではなく、エスキスをもとに下線を先に書くのがおすすめです。

この下線は平行定規を使わずにフリーハンドでOK。

あわせて吹抜けやPC梁などの点線も書いておきましょう。

ara

この下線をもれなく記載することで、次の工程がスムーズになります。

そもそもエスキスの質が下線の質を決め、下線の質が作図スピードを決めます。


ただエスキスよりも、こうしたほうがよいなと思うことも出てくる場合もよくあります。

私的には安易にエスキスからプランを変えるべきではないと思いますが、面積や法規にかかわらず、プランへの影響がほとんどないというケースのみ変更可としています。

▼エスキス思考のコツは下記でまとめています。

③壁、階段、EV 

いよいよ壁を書いていきます。前の段階で下線があるので、この段階では基本エスキスは見ないで作図しましょう。

作図をする際にエスキス用紙をみないといけない場合は、前工程の”下線”の情報が足りていないです。しっかりと前段階で書くようにしましょう。

横線を左から右(①)、右から左(②)と往復して引く手順を赤い矢印で示した平面図

については各平面図ごとに書くのではなく、縦線、横線(順番はどちらでも可)を同時平行で書くことでスピード感をもって作図することができます。(上の写真では横線から先にかいています)

横線を書くときは、左→右()、右→左()と交互に書き、縦線を書くときも同様に下→上、上→下と交互に抜けがないように各平面図ごとに書いていきます。

一気に手を止めずに書くことで、手戻りなく効率的に作図できます。

部分ごと、居室ごとに書くと漏れがあったり手戻りが発生することがあるのでおすすめしません。

・道具の持ち替えが少ないこと

・迷っている(動きが止まっている)時間を少なくする

・線の引き忘れや手戻りがないこと

上記がスピードアップのコツです。

ara

慣れてくれば、壁を描くのが楽しくなってきますよ。

細かいですが、私が壁を書いていたときの手順も共有します。

↓壁の縦線は左→右に書くと壁厚を揃えやすいです。

↓サッシがある壁は、サッシ芯を先に書いてから壁をかいていました。

サッシ芯を先に引いてから壁を描く手順を3段階で並べた平面図

次に階段とEV(エレベーター)をかいていきます。

EVはテンプレートで利用者用は8mm角、管理用は6mm角で問題ありません。

各階ごとでずれがないかしっかりと確認もしましょう。

階段は『利用者用階段』と『管理用階段』は一般的な階高4mを基準に各学校のルール通りに覚えておきましょう。

④断面図(文字以外)

議場・事務室・大会議室の階高と寸法を書き込んだ手描きの断面図

断面図は結構シビアで作図時間にかなり影響してくる項目です。

作図が15分でかけるようになるには、断面図だけで何度も練習をする必要もあります。

断面図のスピードアップのために私が意識していることは、以下のポイントです。

  • 梁がない箇所、PC梁、吹き抜け、屋上庭園などの梁レベルを間違えないように工夫する
  • 梁は全てテンプレートで書く
  • いかに道具を持ち替えないようにするか、効率を重視する
  • 文字は平面図を書き終わった後の方が早いので良い

断面図については細かい線が特に多いので、自分なりにこのタイミングで床→壁→○など書く順番を一度ノートにでも書き出して、ルールを決めておいたほうがいいです。

あれを書いてない、線を間違えたとあたふたしているとあっという間に30分を超過してしまいます。

ara

まずは25分を目標に、徐々に短くできるように工夫と練習をしてみてください。

断面図のスピードは平行定規の精度に大きく依存します。試験会場で焦らないために、平行定規4社の特徴を比較した記事も参考にしてください。

⑤法規(防火設備、延焼ライン、避難経路)

製図試験で落としたら間違いなく失格になる法規はこの段階で書き込みます。

作図時間は10分と冒頭に記載しましたが、多少時間をかけてもよいので確認をする時間を確実に設けましょう

延焼ラインは課題文の敷地図を確認し、正しい位置を確認してから書くようにしましょう。

間違えてかくと直すのに大幅なタイムロスが発生します。

⑥外構部(植栽以外) 

外構部とは、駐車場や駐輪場、免震位置などをさしています。

後回しにして書き込み量が多くなると、忘れるリスクが高くなるのでこの段階で書き込みしましょう。

ara

私は初年度に駐輪場を書き落としてランクⅢになった経験があるので、同じような失敗をしないでほしいです。

⑦室名、什器  

室名を先にかくと什器を書くときに邪魔になるので、什器から書いた方がよいという考えもあります。

ですが、私は室名→什器の順番で書き込むようにしています。

理由としては下記3点です。

・什器はなくても減点で済むが、室名欠落は足切りになる可能性が什器より高い

・室名と什器が干渉したら、室名の部分を抜いて什器を書けば問題ない。

・時間がないときに、什器にこだわってチェック時間が確保できないという状況にならない

また什器について指定があるものは書く必要がありますが、

空いているスペースに任意でソファーを書いたり、トイレの什器を全て書いたりする人が多いです。

実際のところは書いていなくても全然合格できますし、私もかきませんでした。

最後のチェックが終わって、完璧だと思ったらそこでようやく書くくらいで良いと思います。

ara

私も不合格だった年は、指定がない什器も書いていました。

⑧補足表記、植栽 

補足表記について、必要な意味や使い方を理解していますか?

補足表記は図面の密度をあげてアピールするために必要なものだけではありません。

時間のない試験時間の中で時間を割いて書き込むのは別の理由もあると思います。

ずばり、、採点官に意図を伝えたい (言い訳したい) 設計内容についてです。

わかりづらいと思いますので実際に書き込む具体例を挙げると、

・課題文に『コミュニケーションが活発となる施設』と記載があり、屋上庭園をかきたいが要求事項にない場合

屋上庭園(任意) →『任意で屋上庭園を設け、利用者と管理者のコミュニケーションが活発になるよう配慮した』

・課題文に『時間外に対応ができる施設とする』と記載があり、明確な指示がない場合

守衛室(事務室)にカウンターを書込み →『時間外の対応に配慮し、風除室に面した守衛室にカウンターを設置した』

また植栽は、最低限で時間を短縮してかける書き方でかいてみてください。

接道(敷地が道路に面していること)している箇所は必ず使わないといけないという試験ルールがあるので

人の動線も考えて『植栽で人が通ることができない』とならないように注意してください。

縦線、横線を一気に書く意識をもつ

平行定規と三角定規を滑らせて、複数の平面図の縦線をまとめて引いているところ

効率よく、楽に作図をする上で意識が必要なのは縦線と横線を一気に書くことです。

前章でも触れましたが、この意識があるとないとでは作図時間に多く違いがでます。

理由としては、以下の3点があります。

・道具の持ち替えが少なくなる。

・考える、手を止める時間が少なくなる

・平面図では各階を平行して書くので間違えづらい

「道具の持ち替えを減らす」ためには、そもそも手元に置く道具を厳選することが大切です。私が試行錯誤の末に絞り込んだ14個の道具を下記で紹介しています。

ara

実際にやってみるとわかると思いますが、慣れれば機械的に作図をすることができるので、早く・楽に・楽しく(私は)書き込むことができるようになります!

よくある質問Q&A

描き上げた図面をトレーシングペーパーと虫眼鏡で見直し、修正箇所に印を付けているところ

製図試験の作図スピードについて、読者の方からよく寄せられる質問にお答えします。

作図時間は本当に2時間まで短縮できますか?

はい、可能です。私自身、5回目の受験(合格年)で2時間作図を達成しました。ただし、いきなり2時間を目指すのではなく、まず工程を固定して2時間半→2時間15分→2時間と段階的に詰めることが重要です。最初の3ヶ月は時間を測らず「工程を体に染み込ませる」ことに集中し、その後に時間短縮へ移行するのが王道です。

室名と什器、どっちを先に書くべきですか?

私は室名→什器の順番で書くことを推奨しています。理由は3つあります。①什器がなくても減点で済みますが、室名欠落は足切りリスクが高い。②室名と什器が干渉した場合は室名を抜いて什器を書けば対応できる。③時間切れで什器にこだわってチェック時間が確保できない事態を避けられる。任意の什器(ソファー・トイレの細部など)は最後のチェックが終わってから書くくらいで十分合格できます。

断面図だけ時間がかかってしまいます。改善方法は?

断面図は時間短縮への影響が大きい工程です。改善ポイントは4つ。①梁がない箇所・PC梁・吹き抜け・屋上庭園など梁レベルを間違えない工夫をする(事前にエスキスでマーキング)、②梁は全てテンプレートで書く、③道具の持ち替えを最小化する手順を決めておく、④文字は平面図を書き終えた後にまとめて書く。まずは25分を目標に、断面図だけを切り出して反復練習するのが効果的です。

フリーハンドで書いていい線・ダメな線の区別は?

フリーハンドOKな線は「下線(捨て線)」と「補助的な点線」「什器」です。具体的には、壁・サッシを書く前の位置出しの下線、吹抜けやPC梁を示す点線などはフリーハンドで十分です。一方、最終的に図面に残る通り芯・壁・断面図の主要線は必ず平行定規・三角定規を使って書きます。下線をフリーハンドで素早く書くことで、本番の線を引く際に迷いが減り、結果的にトータルの作図時間が短くなります。

おすすめの平行定規メーカーはありますか?

一級建築士製図試験で使われる平行定規の主要メーカーはMUTOH・KOKUYO・Staedtler・MAXなど4社です。各社で重量・ワイヤー機構の精度・収納性が異なるため、自分の作図スタイルに合わせた選択が重要です。詳しい比較は別記事の「一級建築士製図試験の道具セット比較|失敗しない選び方と4社徹底比較」でまとめていますので、購入を検討される方はぜひ参考にしてください。

まとめ 作図のスピードアップには

製図板の上で描き上がった一級建築士製図試験の平面図と製図道具一式

最後にまとめです。

作図時間のスピードアップには以下のポイントが重要です。

・作図工程を無意識でできるように覚えること

・道具の持ち替えをすくなくすること

・縦線、横線を一気に書く意識をもつ

ara

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

🎯 この記事を読んだあなたへ、次のおすすめ記事

作図スピードアップには「道具選び」と「エスキス思考」の2つが両輪です。
私が5回の受験で辿り着いた答えを、それぞれの記事でまとめています。

📐 道具選びを最適化したい方へ

🧠 エスキスから根本的に時短したい方へ

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この記事を書いた人

一級建築士/一級施工管理技士。ゼネコン現場監督として8年従事後、激務に限界を感じて転職。一級建築士は学科2度合格・製図5回挑戦の末、受験7年目で合格。「資格を武器に労働環境を変えた」自身の体験から、建築・建設業界で働く方の「資格取得」と「後悔しない転職」を発信中。

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