「いつも同じミスをしてしまう」
「重大なミスがなくならない」
「ミスをなくす手法をしりたい」
製図試験の受験生の多くが直面することだと思います。
araこんにちは、一級建築士のaraです。
私も以前、これ以上ないのではというほどに様々なミスをしてきました。
合格をする上で避けて通れないチェックの手法について今回はご紹介します。
多くのミスをしたからこそ確立したのが、本記事で紹介する3回チェック手順とミスノート活用法です。
この記事を読むことで、試験で最も重要なチェック力を高めることに繋がるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
一級建築士製図のチェックは「いつ・何回」入れるべきか


製図試験の全体像としては
- 課題の読み取り
- エスキス
- 計画の要点
- 作図
この中で、チェックはエスキス後に中間チェック2回、作図後に最終チェックと行うのがセオリーです。
合計3回のチェックポイントを確実に実施することで、重大ミスを限りなくゼロに近づけることができます。
エスキスの基本的な思考プロセスは 『はやく知りたかった』一級建築士製図試験|シンプルなエスキス思考が最強な理由 で詳しく解説しています。


ではそれぞれのチェックで確認するポイントについて解説していきます。
課題文を「最強のチェックリスト」として使う3ステップ


製図試験で重大ミスを防ぐ最強の道具は、実は配られる課題文そのものです。
要求事項を見落とさないために、私は次の3ステップで課題文をチェックリスト化していました。
STEP1:マーカー3色で要求事項を色分けする
・赤マーカー=守らないと一発アウトを含む最重要事項(基本はこれ)
・黄マーカー=什器に関する指定
・青マーカー=面積に関する条件
色を3つに絞る目的は「チェックフェーズごとに見る色を切り替えられる」状態を作ることです。中間チェックと最終チェックで、見るべき色が違うからです。
STEP2:チェックは「斜線の方向」で進捗を可視化する
中間チェック時:赤マーカーと青マーカーの項目を、青ペンで一方向の斜線でチェック
最終チェック時:黄マーカーを含めた全項目を、反対方向の斜線でチェック
→ 中間で確認済みの項目は自然と「×」になり、未確認のものとひと目で見分けられます
この方法のポイントは「中間で見るのは赤・青だけ」「黄(什器)は最終チェックで一気に拾う」と役割分担できる点です。中間チェックは時間が限られるので、見る対象を絞ることが重要です。
STEP3:課題文は「室名・什器を書くとき」だけ製図板に置く
課題文は、室名と什器を書き込むタイミングでのみ課題文を製図板に乗せ、転記漏れがないかを直接照合していました。
常設すると邪魔になりますが、転記する瞬間だけ手元に置くことで「課題文→図面」の写し漏れを最小化できます。



マーカーの選び方は 【2026年版】製図道具9選 で詳しく紹介しています。蛍光ペンは滲まないタイプが鉄則です。


中間チェック①|バイコマ(ゾーニング)後の最重要3項目


エスキスの流れは、大まかに以下のとおりです。
- 敷地条件の整理
- 高さ・へりあき検討
- ボリューム・階振り分け
- バイコマ検討(ゾーニング) ←1回目CK
- 1/400検討(プランニング) ←2回目CK
中間チェックはバイコマ検討(ゾーニング)と 1/400検討(プランニング)の後の2回行うのが基本です。
中間チェック1回目では、以下の重要項目3つをチェックします。
・建築面積
・高さ制限
・延べ床面積
これらの項目については、1/400検討の後に間違いに気づくと大幅なタイムロスやプラン崩壊になりかねないので最優先でチェックをします。



以下の写真は、私の令和7年本試験の実際のエスキスです。


①:建築面積は庇やBALなどを加えても余裕があるか、確認しておきます。
②:高さ制限はへりあき算出の際に出していますが、計算ミスや斜線が厳しい箇所が漏れていないかを改めて確認します。
③:延べ床面積はバイコマ検討の横に、面積をそれぞれ記載し確認します。
中間チェック②|1/400(プランニング)後の10項目
中間チェック2回目では、以下の10項目を押さえます。確認内容と典型的な失敗例もご紹介します。
1回目で面積と高さの検討をしましたが、1/400検討の段階でプランが変動して数値が変わることがあるため、ここで必ず再確認します。
| 項目 | 確認内容 | 典型的な失敗例 |
|---|---|---|
| 建築面積 | 庇・BAL含めて余裕があるか | 庇加算忘れで超過 |
| 採光 | 居住用途のへりあき・開口部 | 集合住宅で採光不足 |
| 延べ床面積 | 下限・上限の両方 | 吹き抜け部分の控除を忘れる |
| 防火区画 | 面積区画・竪穴区画 | 吹抜スパンドレル未記載 |
| 高さ制限 | パラペット含めた最高高さ | 道路斜線干渉 |
| 延焼ライン | 1階3m・2階以上5m | 記載自体を忘れる |
| 2方向避難 | 居室から2方向の経路 | 記載自体を忘れる |
| 敷地内通路 | 幅1.5m以上 | 植栽で潰される |
| バリアフリー | BFトイレ・スロープ・EV | バリアフリートイレが無いフロアがある |
| PS/DS/EPS | 上下階通し・DSは機械室直上 | PSがある箇所の下階1スパン以内にPSが欠落 |
項目数は多いですが、後述する語呂合わせで覚えてしまえば10分程度で全項目をチェックできるようになります。
ここで必ずチェックをしておくことで、あとで重大な手戻りになるのを防ぐことができます。
またこれらは、語呂合わせを自分なりに決めて覚えておくのがいいです。



例えば、『ケン・サイ・ノベ、ボウ・タカ・エン! ニ・ツウ・バリの P・D・E!』とかなんでもいいです。覚えやすいワードにしましょう。
各項目ごとのチェックのポイント


それぞれのチェックポイントについて解説します。
①建築面積:
先ほどのチェック同様に庇やBALも含めてしっかりと記載しておきます。
作図の際にそのままトレースできるようにかいておきます。
②採光:
居住の用途がある場合は隣地とのへりあきなど検討する必要がありますが、課題によっては気にしなくてよいです。
直近の試験ですと、集合住宅や高齢者介護施設などは考慮する必要がありました。
③延べ床面積:
建築面積同様に作図の際にそのままトレースできるようにかいておきます。
④防火区画、延焼ライン:
延焼ラインは敷地図を再度確認してから記載し、階段とEV、吹き抜け、スパンドレルの防火設備も含めて書いておきます。
※1/400エスキスでは防火設備は⚪︎、特定防火設備は×とかで十分です。
⑤高さ制限:
断面図を書いてみたら実はパラペットと干渉していた。なんてこともあるので、念には念をいれてチェックします。
断面図の斜線記入を要求されることもあるので、エスキスに計算式と後退距離も含めてかいておきます。
※敷地の幅の1/5以下かつ高さGL+5m以下の庇以外は後退距離に加算されるので要注意です!



私はこれが理由で失格になったことがあります。。
⑥2方向避難:
利用者と管理者階段を建物の妻側に対称配置としていれば基本問題ないですが、偏って配置している場合に注意が必要です。特に大空間の居室が2階以上にある場合は要注意です。
⑦敷地内通路:
避難してきた人が建物出入り口から道路に出る通路幅が1.5m以上確保されているか確認します。
⑧バリアフリー:
この項目には階段がバリアフリー階段か、各階にバリアフリートイレがあるか、居室用途によっては車椅子用座席があるかなどが含まれます。
⑨PS、DS、EPS:
PSはあとからでも追加できますが、DS・EPSは後から動かせないため、バイコマ段階で位置を確定させてください。
DSは空調機械室の直上が理想であり、記述などで説明を求められることもあるので、確認しておきましょう。



この項目は後ほど紹介するミスノートにより、自分の間違いやすい項目を追加するのがおすすめです。
最終チェック|作図後に「減点最小化」する確認手順


作図を終えた瞬間、多くの受験生は安堵で気が抜けます。しかし合否を分けるのはこの最終チェックです。理想は最終チェックに30分を確保することを目標に、作図のペース配分を組み立ててください。
最終チェックは「重大ミスを潰すこと」と「修正コストを見極めること」の2段構えで臨みます。
最終チェックの必須7項目
① 室名・面積表の記載漏れ
② 延焼ライン・防火設備記号の抜け
③ 2方向避難・敷地内通路1.5mの確保
④ バリアフリートイレ・EV・スロープの有無と位置
⑤ 断面図の高さ寸法・斜線・GL
⑥ 計画の要点の未記入欄(白紙は即減点)
⑦ 受験番号・氏名の記入
また、課題文に施した黄マーカー(什器)の最終チェックもこのタイミングで一気に拾います。STEP2で説明した「反対方向の斜線」で1項目ずつ消し込んでいきます。
順番は「一発アウト系→記載漏れ系→記名系」で進めるのが鉄則です。時間切れになっても受験番号と氏名は絶対に守れるようにしておきましょう。
重大ミスを発見したときの判断基準
最終チェックでミスを見つけたら、修正に入る前に「5秒で判断」します。基準はシンプルで、最も大事なのは「重大なミスを残さないこと」。これを軸に次の3パターンで判断します。
① 修正時間が5分以内に収まる軽微なミス:即修正する
② 修正に5分超かかるミス:残り時間で他のチェックも全て完了できると判断できれば修正する。難しければ見送る
③ 重大なミス(一発アウト系):修正に5分以上かかっても必ず修正する。延焼ライン未記載・2方向避難不成立・面積オーバーなどは時間を投下してでも潰す
「直すか直さないか」で迷っているうちに時間は溶けます。重大ミスかどうか・5分以内かの2軸で即決することが、最終チェックを成功させる鍵です。



30分あれば、軽微なミスを潰しながら重大ミスにも対応する余裕が生まれます。
そもそも最終チェック30分を確保するには、作図そのものを2時間で終える練習が必要です。
作図スピードの上げ方は 【2時間で作図完了】一級建築士製図のスピードアップ術 をご覧ください。


ミスノートで「自分だけの弱点リスト」を育てる
製図試験で合格に近づくためのもう一つの強力な武器が「ミスノート」です。
ミスノートとは、模擬試験や課題演習で発生したミスを記録しておくノートです。チェックリストが「みんな共通の確認事項」であるのに対し、ミスノートは自分だけの弱点リスト。
これを繰り返し見返すことで、同じミスを本試験でしないようにするのが目的です。



字が汚くお恥ずかしいですが、私の合格年のミスノートをお見せします。




ミスノートのポイント
「いつ・どんなミス・何回目か・次回どう防ぐか」の4セットで記録する
例)「2回目模試でバリアフリートイレを2階に設けるのを忘れた。課題文の見落とし。2回目→青マーカーでチェック欄を設けて毎回確認する」
「重大ミス」と「小さなミス」を区別して記録する
一発アウトになる重大ミス(延焼ライン未記載・2方向避難不成立など)は赤字で目立たせておく
試験が近づいたら毎週1回は見返す
直前期は毎週ミスノートを読み返し、「これだけはやらない」と意識に刷り込む
中間チェックリストの末尾に独自項目を追加していく
実際に経験した項目を追記することで、完全にオリジナルのチェックリストに育てる
よくあるチェックQ&A
- 吹抜けはグリッドを跨いでも問題ないですか?
-
問題ありません。ただしグリッドを跨ぐ箇所には梁が走るため、指定がなくても構造的な整合性として梁の記載を入れておくのがベターです。
- 吹抜けを設ける際の注意点は?
-
主に3点あります。
① 片持ち(はね出し)スラブは3m以下が原則。
② 面積の下限が指定されている場合、吹抜け・階段部分は延べ床面積の算定から除外されることがあります。
③ 吹抜けをまたぐ部分の防火区画(スパンドレル)も忘れずに記載してください。 - 屋上庭園を設ける場合、スラブはいくつ下げればいい?
-
客土の厚さが指定されている場合はその分をそのまま下げます。指定がない場合はMIN200mm程度下げておくのが無難です。(デッキフロア100mm+防水層100mm)
- サービス動線上に駐車場があったらアウトですか?
-
問題ありません。メイン動線と交差・混在するのがアウトです。駐車場はサービス動線に含めてOKですが、メイン動線を遮断する配置は不可なので注意しましょう。
- 防火設備と特定防火設備はどう書き分ければいい?
-
私はエスキス段階で防火設備=○、特定防火設備=×と記号化しています。時間短縮になりますし、作図への転記ミスも減ります。
- チェック中に重大ミスを発見したら時間配分はどうする?
-
「直せる量か、直せない量か」を5秒で判断します。作図後(最終チェック)に発見した場合は「減点を最小化する修正」にとどめ、時間切れで未完成になるよりも完成させることを優先しましょう。ただし一発アウト級の重大ミスは時間を投下してでも修正してください。
まとめ|チェックは「ロス」ではなく「得点を守る投資」
最後にまとめです。
・チェックは中間(ゾーニング後・プランニング後)と最終の計3回が基本
・中間チェックは「重大ミスを早期発見」するための砦。3項目→10項目の順で徹底する
・課題文はチェックリストとして活用。赤・黄・青の3色マーカー+斜線方向で進捗を可視化する
・最終チェックは30分を目標に確保。5分判断ルールと一発アウト優先で重大ミスを残さない
・ミスノートは自分だけの弱点リスト。4セットで記録し、直前期に繰り返し見返す
製図試験は時間との戦いです。チェックに費やす時間を「ロス」と考えず、「最終得点を守るための投資」と捉えることが合格への近道です。
合格までの道のりや苦悩を乗り越えた経験談は 【7年間の軌跡】一級建築士合格までの経験と、諦めないために必要なこと でもお伝えしています。チェック手法とあわせて、ぜひメンタル面の参考にしてください。


ぜひ今日から自分のチェックリストとミスノートを育て始めてください。応援しています!



最後までお読みいただきありがとうございました!


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