「エスキスが2h半以上かかり、時間がたりない」
「エスキスが毎回とけなくて苦痛」
初年度の方はもちろん、過年度生でも同じ悩みを抱えている方は多いと思います。
araこんにちは、一級建築士のaraです。
私は現場監督を8年やりながら学科に2度合格し、製図は5回受験しました。それでも合格した年以外はエスキスに対してずっと苦手意識がありました。
エスキスに時間がかかると作図とチェックの時間が減り、成果物の質が落ちて合格から遠のきます。そのため、エスキス力アップはとても重要です。
試行錯誤の末、合格した年にたどり着いたのはノート1冊の「見開きエスキス」でした。製図板もエスキス用紙も使いません。
この記事で、その練習法をすべて公開します。
・エスキスが2時間半で終わらない本当の原因
・ノート1冊で課題文からプランニングまで通しでやる練習のやり方
・実際に私が使っていたノートの中身(写真つき)
・平日に時間が取れない人のための分割のしかた
結論から言うと、課題文を読むところからプランニングまで、ノート1冊で通しでやり切ること。
合格した年に初めて実行し、平均時間が30分ほど短くなりました。(2時間半→2時間)
エスキスの時間がかかる原因2つ
エスキスに時間がかかると、たいてい自分の要領の悪さに原因があるのかと感じてしまいます。
ただ5回受験した実感として、原因はそこではないと思っています。
原因①「一気通貫でやり切った回数」の少なさ
エスキスは、①課題文を読む→②条件を拾う→③高さを確認→④敷地のへりあき・スパン割り→⑤階振り分け→⑥バイコマゾーニング→⑦プランニングという判断の連続です。
さらに一度でうまくいくことはまずないので、行ったり来たりします。
この一連の①〜⑦の流れを最初から最後まで通した回数が少ないと、毎回どこかで手が止まります。



止まっている時間の正体は、作業の遅さではなく「次に何を決めるんだったか」を考えている時間です。
原因② 図面を広げないと練習できない、という壁
では回数を積めばいいわけですが、ここにもう一つの壁があります。
製図板を用意し、エスキス用紙を広げて、道具を並べて——という準備が必要だと、ただでさえ根気が必要なエスキスを平日はなかなか始められません。
始められないから回数が積めず、回数が積めないから毎回止まる。この循環を断つのが、今回のエスキスノート練習法です。



私は以前、とりあえず作図を早くすることに注力し、エスキス力向上は後回しにしていました。
▼そもそもエスキスで何を目指すのかを整理したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。


プランニングのみの練習では足りない(合格年に変えたこと)


ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。
以前はプランニングのみをノートに描いていた


ノートにプランを描く練習自体は、以前からやっていました。
アンダーライン済みの課題文をノートに貼り、次のページにあらかじめコマが書かれた用紙を貼り付けてプランニングする、という方法です(上の写真)。
なんとなくいい感じのトレーニングに見えますが、私にはあいませんでした。



当時はエスキスの練習方法がわからず、時間の短縮のためにこの練習をずっとやっていました。
合格年=課題文の読み取りからプランニングまで通しで完結
合格した年に変えたのは、課題文を読むところからスタートして、見開きで敷地条件からバイコマゾーニングまで進め、次のページでプランニングまで仕上げることでした。
ノートはB5ノートをつかい、両面見開きを大きく使うことでエスキス用紙に近い使い方です。詳しくは次の章でご説明します。
大事なのは、最初から最後のプランニングまで通しで行うことです。



通しでやったのは合格した年が初めてでした。もっと早く気づいていれば、と正直思っています。
結果、平均エスキス時間は2時間半から2時間に
通しでやる練習に切り替えてから、エスキスの平均は2時間半から2時間になりました。
もちろん課題の難易度によって前後します。難しい年の課題なら2時間を超えることもあります。
30分の短縮は、そのまま作図と見直しに回せる30分になります。製図試験でこの差はかなり大きいです。
ノート見開きエスキスのやり方


やり方はシンプルで、実際のエスキスと同じような流れをノートで行うだけです。なお課題文は、アンダーラインを引き終えたものを参照しています。
この見開きでは下記の①〜⑥まで行い、プランニングは次ページでおこないます。
①課題文を読む→②条件を拾う→③高さを確認→④敷地のへりあき・スパン割り→⑤階振り分け→⑥バイコマゾーニング→⑦プランニング
左ページ|敷地条件の整理とバイコマゾーニング
左側のページは敷地条件とバイコマゾーニングに使います。
まず左上に課題の敷地図、床面積や階数などの重要値を記載(①②④)、その下はバイコマゾーニング(⑥)に使います。
バイコマゾーニングでは、各階のとなりに床面積と建築面積の計算を記載し、要求されている床面積に収まるかを確認します。
右ページ|高さ検討、階振り分け
右側のページは高さ検討と階振り分けに使います。
右上の欄で居室の天井ふところから階高を検討し、斜線制限にかからないように見開きの左側の外部施設も考慮して高さを決めます(③)。
その下部に施設ごとのゾーニングや動線を考えてコマ数に無理がないように階振り分け(⑤)に使います。
用意するのは筆記用具、ノート、スケールだけ
必要なものは、筆記用具以外にはB5かA4サイズのノートとスケールのみです。
▼実際の課題で試すなら、令和8年の課題「ホテル」の読み解き方もあわせて参考にしてください。


実際のノートで見る、見開きエスキスの中身
言葉だけでは伝わりにくいので、字が汚く恐縮ですが、私が実際に使っていたノートをそのまま載せます。↓


左ページ上部|条件の書き出しとコマ割り・面積
左のページ上部に建築面積と延べ床面積、斜線の勾配(1.25)、階数といった条件を先に書き出します。
右ページで高さと階数を確認したら左に戻り、敷地のへりあきを取って外形を決めます。
「42m×28m=1,176㎡」のように、基準となる建築面積をここで確定させます。
右ページ上部|高さの確認
右のページ上部では、天井ふところから階高を4.2mで仮決定し、高さを合計します。
そのうえで、斜線制限にかからないかへりあき寸法を検証しています。この段階でも敷地条件と行ったり来たりします。
ここで階数と高さが決まらないと、左ページのへりあき・スパン割りにも、この下の階振り分けにも進めません。
右ページ下部|階振り分けの確認
敷地のへりあきを決定すると外形が決まるので、居室面積からコマ数を階ごとに無理がないように振り分けていきます。
部門をまとめる配慮をしているか、屋上庭園や吹き抜けなどに漏れがないかもチェックしましょう。
左ページ下部|バイコマゾーニング
階振り分けまで完了したので、ゾーニング計画をしていきます。まず大きい居室を配置し、コアの位置とメイン廊下を決めます。
そのあとはコマ数が入りそうであれば、細かいところまで検討する必要はありません。
面積はバイコマの段階で計算します。床面積の合計、建築面積に余裕があるかを判断します。



私は、1コマは40㎡か50㎡で設定していました。
次ページ|プランニング


さきほどのバイコマゾーニングをもとに、プランニングをしていきます。私のおすすめは1/600で平面図を描くことです。
このプランニングをもとに、作図できるレベルまで仕上げましょう。
なお、断面図もスパンは1/600にしていますが、高さは適当としています。



ポイントは敷地図と通り芯はフリクションで書いていること。消しゴムで消した時に消えるとストレスになります。
▼おすすめの製図道具は以下の記事でまとめているので、参考にしてください。


この練習法でエスキス力が上がる2つの理由
なぜノート1冊でエスキスが速くなるのか、理由は2つあると考えています。
①始めるまでの抵抗が減るので、回数が増える
ノートと筆記用具、スケールだけなら、思い立った瞬間に始められます。
準備のハードルが下がると、単純に取り組む回数が増えます。エスキスは回数がそのまま速さになります。
②判断の順番が固定される
通しで何度もやっていると、「課題文→条件を拾う→高さの確認→へりあき・スパン割り→階振り分け→バイコマゾーニング→プランニング」という順番が固定されてきます。
順番が決まっていると、迷う対象が「何をするか」から「どう決めるか」だけに絞られます。
エスキスの時間短縮とは、作業を速くすることではなく、迷う対象を減らすことです。
まとまった時間が取れない日は「分割」で回します
働きながら受験していると、2時間続けて机に向かえる日ばかりではありません。ましてや作図時間にも大幅に時間をとられます。
1回2時間・週1〜2回が目安
私が合格した年のエスキスに充てる目安は、1回あたり2時間ほど、週に1〜2回でした。
作図もあり、毎日やろうとすると続かないので、週の中で回数を決めてしまうほうが現実的です。
自宅・昼休み・ファミレスでもできる
私は自宅だけでなく、仕事の昼休みやファミレスでもノートを開いていました。
製図板を広げられない場所でも練習できるのが、この方法のいちばんの利点です。
分割しても、一気通貫の順番は崩さない
時間がまとめて取れないときは、1課題を分けて進めてかまいません。
ただし順番だけは崩さないことです。昼休みに条件の書き出しと高さの確認・スパン割りまで、夜に階振り分けからプランニングまで、という分け方にします。



忘れるので、なるべく間をあけずに取り組みましょう
▼学科のあとから本試験までの進め方は、週別のロードマップにまとめています。


エスキス力が上がると、作図の時間まで短くなる
意外に思われるかもしれませんが、エスキスを通しで練習すると作図まで速くなります。
理由は、エスキスの段階で決めきれていない箇所が減るからです。
作図中に手が止まるのは、線が引けないからではなくまだ決まっていないことを作図しながら決めようとしているからでした。
▼作図の時短術については、こちらで詳しく書いています。


よくある質問
- 方眼ノートでないと駄目ですか?
-
普通の罫線のノートで問題ありません。私が使っていたのも罫線のノートです。バイコマは罫線に沿って、プランニングはスケールで測って描くので、方眼である必要はありません。
使いやすいと感じるなら方眼でもかまいません。
- 1/400のエスキスの代わりになりますか?
-
練習としては代わりになります。1/600で描いてもスケール感はつかめます。
ただし模試や本番のエスキスは1/400が一般的です。ノートは日々の回数を積むための練習、1/400は本番用と分けて考えてください。
- 独学でもできますか?
-
できます。ノートと筆記用具、スケールそれに課題文があれば始められます。
ただし自分のプランが良いか悪いかの判断は独学では難しいので、添削を受けられる環境は別で確保しておくほうが安全です。


まとめ|エスキスの時間短縮は、道具ではなく回数で決まります
この記事の内容をまとめます。
- エスキスが終わらない原因は手の遅さではなく、最後まで通した回数の少なさ
- プランニングだけを描く練習では、エスキス力が大きく上がらない
- 課題文の読み取りからプランニングまでを、ノート1冊で通しでやり切る
- 目安は1回2時間・週1〜2回。分割してもよいが順番は崩さない
私は製図を5回受験して、ようやくこの練習にたどり着きました。今日からぜひ始めてみてください。
皆様が製図試験に合格できることを応援しております。



最後までお読みいただき、ありがとうございました!







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