【一級建築士 製図】計画の要点(記述)は暗記より理解|5回受験で分かった対策法

横向きの答案用紙Ⅱにシャープペンで書き込む手元と、奥に置かれた平行定規付きの製図板

「通し演習で、計画の要点の欄が最後まで埋まらなかった。」

「学校の解答例は暗記したのに、本番形式になると手が動かない。」

私も同じ経験があります。

ara

こんにちは、一級建築士のaraです。

私は製図試験を5回受験し、総合資格・全日本建築士会・TACの3校を渡り歩いて、5回目に合格しました。

悩んでいた原因は、例文の暗記の数ではありませんでした。計画の要点等について、公式の模範解答はそもそも公表されていません。

公式の正解がない試験で、何を・どう書き・どう準備したのか。5回分の経験をもとにまとめました。

この記事でわかること
  • 計画の要点は、埋めきれないだけで不合格の理由になる
  • 「図面6:記述4」は、公式に発表された配点ではない
  • 書き方の型は「対象・対応方法・理由」の3要素、1つに絞る
  • 令和7年の本試験で、私が実際に書いた内容
  • 引き出しは短い箇条書きで、出先でも見返せる場所に溜める
目次

計画の要点(記述)とは|図面と同じ提出物で、未完成は不合格

計画の要点等は、答案用紙Ⅱに文章と図で答える設問のことです。

図面と同じく提出物の一部で、採点の対象になります。作図が終わったあとに余った時間で埋めるもの、という位置づけではありません。

答案用紙は2枚。2枚目が計画の要点等

初めて製図に取り組む方向けに、形だけ先に説明します。

答案用紙は2枚あります。1枚目が図面、2枚目が計画の要点等です。

2枚目には設問が並び、それぞれに数行の記入欄があります。年によっては、文章ではなく図で答える欄が混ざります。

ara

私が合格した令和7年は5問でした。そのうち1問は、採用した構造を図で説明する設問でした。

公式の合格基準に「完成されていないもの」がある

建築技術教育普及センターが公表している合格基準には、設計条件や要求図書に対する重大な不適合の例が並んでいます。

そのなかに「計画の要点等が完成されていないもの」という一文があります。

重大な不適合はランクⅣ、つまり不合格です。合格になるのはランクⅠだけです。

内容の良し悪しを見てもらう前に、埋めきれていないこと自体が不合格の理由になります。

令和7年の設計製図試験では、ランクⅠが35.0%、ランクⅡが1.6%、ランクⅢが53.7%、ランクⅣが9.7%でした(国土交通省の報道発表)。

惜しくも届かなかったランクⅡは、1.6%しかいません。落ちるときは「著しく不足」か「重大な不適合」で落ちる試験だと分かります。

「図面6:記述4」は公式に発表された配点ではない

記述の重さを説明するとき、「図面6:記述4」という数字をよく見かけます。

ただし、センターは配点も採点方式も公表していません。

受験生のあいだで語られてきた目安であって、公式の発表ではありません。数字を根拠に「記述に4割の力を配分する」と決める使い方はしないほうが安全です。

公式に確かめられるのは、未完成が重大な不適合として挙げられている点です。まずはそこを守ります。

私は5回とも、空欄を作らなかった

私は5回の本試験で、記述の欄を空けたことはありません。分からない設問でも、書けることを書いて次へ進みました。

対策の優先順位は、内容の質より先に「空欄を作らない」です。

埋めきる速さを先に作り、内容の精度は後から上げます。練習もその順番で組み立てます。

▼一発アウトのランクⅣについては、別記事にまとめているので参考にしてください。

【前提】公式の模範解答は公表されていない|だから暗記だけでは止まる

開いた解答例のノートを横に置き、白紙の記述用紙の上でペンを止めて困った顔をする受験生

例文の暗記が足りないから書けないのだと考えている方は多いです。私もそう思っていました。

ところが、その前提そのものが少しずれていました。

図面の標準解答例は出るのに、計画の要点だけ公表されない

試験のあと、センターは図面の標準解答例を公表します。合格発表と合わせて見た方も多いと思います。

いっぽうで、計画の要点等の解答例は公表されていません。

理由もセンターの公表文書に書かれています。

公表すると解答パターンが定型化し、試験を適正に実施するうえで影響が出るため

という説明です。

学校の解答例は、各校が推定して作ったもの

公式の正解が世に出ていない以上、学校や市販の解答例は、それぞれが推定して作ったものになります。

そのため、唯一の正解ではありません。

だから丸暗記だけで臨むと、設問の角度が少し変わっただけで手が止まります。

覚えた文章をうまく引き出せなくなるからです。

暗記が無駄だという話ではありません。「覚えた文章を、理由から組み立て直せる状態にしておく」ことが大事です。

令和2年、分からない設問を「それらしく」書いた

”採用した耐震計算ルートの種別と、そこで考慮したこと”を問う設問が出たのは、最初に製図を受けた令和2年の本試験です。

解答例の文章は覚えていたものの、正直自分の計画でどのルートになるのか、なぜそうなるのかは説明できない状態でした。

ara

結局、覚えていた言い回しをそれらしく並べて埋めました。空欄は避けられましたが、設問に答えた文ではなかったと思います。

その年の不合格の原因は駐輪場の欠落で、記述ではありません。ただ、記述で手応えがなかったのも事実でした。

合格した年に変えたのは、暗記を理解に変えたこと

ara

製図5回目の合格した年に変えたのは、暗記していただけの部分を理解に変えたことでした。とくに設備方式です。

たとえば空冷ヒートポンプパッケージユニット方式であれば1階に空調用PSが不要な理由。

あるいは単一ダクト方式とファンコイルユニット方式の違い。そしてDSが必要なケースとその理由。

どれも文章としては覚えていましたが、なぜそうなるのかを正直理解できていませんでした。

理由から分かっていれば、設問の角度が変わってもその場で組み立て直せます。

出題される4つの分野と、問われ方

3階建て建物の断面に、動線・柱梁基礎・ダクトと機械室・太陽光パネルと日差しの4要素を色分けして描いたイラスト

出題される内容はある程度決まっており、知っていれば対策することも可能です。

建築計画・構造・設備・環境の4つ

計画の要点等で問われる内容は、大きく4つの分野に分かれます。

  • 建築計画:ゾーニング、動線計画、室や建物の配置、周辺環境や利用者への配慮
  • 構造:構造種別と架構形式、スパン割り、部材の断面寸法、地盤と基礎
  • 設備:空調方式、給排水衛生、電気、シャフト、屋上に置く設備の配置
  • 環境:省エネルギー、二酸化炭素排出量の削減、自然採光や通風の使い方

課題の用途が変わっても、4つの分野そのものは変わりません。

私はまとめる内容を「計画・構造・設備・環境負荷軽減・避難場所としての配慮」の5つに分けていました。

ara

4分野に、その年の課題で問われやすい切り口を1つ足した形です。

令和7年の本試験で、私が書いた内容

令和7年(庁舎)の本試験は5問でした。そのうち4問について、私が実際にどう答えたかを要約して示します。

設問の文章は試験元のものなので、ここでは問われた観点を私の言葉に直したものです。

問われた観点(要約)私が書いた内容(要約)
周辺環境への配慮住民交流スペースを北側のメイン道路からエントランスを介して入る位置に置き、南側の公園にも出入口を設けて一体で使えるようにした
来庁者と職員・議員のセキュリティを踏まえた動線各階で動線を区分し、要所に扉を設けた。議会部門はホールに面した事務局のカウンターで受ける形にした
省エネ・二酸化炭素削減で採用した設備システムと理由屋上の太陽光発電パネルに蓄電池を併設し、発電した電力を溜めて補助電力として使う
採用した構造と、大地震時に機能を維持するための考慮(図で説明)免震構造を採用。免震層の変位量を500mmと想定し、外部の土圧壁とのクリアランスを600mmで計画した断面を描いた

表の右側を見ると、文章で答えた3問はどれも対象対応方法理由」の3つでできています。

周辺環境の設問なら、対象は住民交流スペース対応方法は公園側の出入口理由は公園との一体的な利用です。

詳しくは【型】の章で説明します。

表の4問目は文章ではなく、図で答える設問でした。免震層がどれだけ動くかを数字で置き、その分だけ壁から離す、という考え方を断面で示しました。

文章で説明する代わりに、寸法を書き込む形です。

令和7年の問題用紙・答案用紙・標準解答例は、公益財団法人建築技術教育普及センターの公式サイトで公開されています。

分野ごとに「理由まで言えるか」で仕分ける

まとめておく記述内容の基準は、覚えているかどうかではありません。

なぜそうするのかを、人に説明できるかどうかです。下記は一例です。

・ 採用した構造種別を選んだ理由を、他の構造と比べて説明できる
・ スパン割りを決めた理由を、室の用途と結びつけて説明できる
・ 採用した空調方式の特徴と、シャフトが必要になる理由を説明できる
・ 省エネルギーの手法を、建物のどこに使ったかまで説明できる
・ 動線を分けた理由を、利用者の種類ごとに説明できる

図を描かせる設問が入る年がある

計画の要点等は、文章だけとは限りません。

過去には、断面の詳細を描かせる設問や、屋上に置く設備の配置をイメージ図で説明させる設問が出ています。

文章の練習だけで止めていると、当日に初めて描くことになります。過去に出た形式は、通し演習に入る前に一度は自分の手で描いておいてください。

【型】対象・対応方法・理由の3要素で組み立てる

何を書くかが決まったら、次はどう書くかです。型をもっていることで文章の組み立てがしやすくなります。

私が使っていた型は、対象(〜は)/対応方法(〜に隣接させた・〜に配置した)/理由(〜に配慮して・〜とするため)の3要素で組み立て、箇条書きで短く書く形です。

総合資格で教わった3要素と、TACで教わった箇条書きを組み合わせたものです。令和7年の本試験で私が書いた答案も、文章で答えた設問はすべてこの形でした。

ara

型を1つ持っておくと、設問ごとに文章を考える時間がなくなります。初めて見る設問でも、同じ形で出てきます。

文は短く、無駄な接続語は使わない。量で埋めるのではなく、読める形で埋めます。

▼3校で教わった書き方の違い、マーカーの引き方、本番でいつ・何分で書くかは、別記事にまとめていますので参考にしてください。

勉強の進め方|いつから始めて、どう溜めたか

型が決まったら、あとは溜めるだけです。私の5回分の進め方を、時期と順番で書きます。

いつから始めたか|私の5回分

1回目の令和2年は、記述を始めたのが9月頃でした。そのため作図とエスキスに時間を取られ、記述は後回しでした。

2回目以降は、学校の講座が7月に始まるので、8月頃から記述に手をつけました。

合格した令和7年のみ、5月頃から作図と並行して記述に取り組んでいました。

ara

早く始めたから受かった、と言い切るつもりはありません。ただ、記述に手をつけるのが遅い年ほど、本番で暗記に頼っていたのは事実です。

学科の合格発表を待たずに、学科試験が終わった週から記述にも触れておくのがおすすめです。

私が5月から始められたのは、合格した年にTACの早期講座(3月開講)を取っていたからです。学科が免除で製図だけの年も、講座が始まる7月から記述を並行させれば十分間に合います。

9月に入ってから取り組む方は、以降に解説している手順や書き溜め方を参考に、早速とりかかってくださいね。

順番|印をつける → 自分の言葉で書く → 穴を潰す

私が計画の要点の勉強で行った順番は以下の3つです。

  • 解答例に3要素の印をつける:写すのではなく、対象・対応方法・理由にマーカーを引く。分量の感覚をつかむまでで切り上げる
  • 解答例を見ないで、自分の計画で書く:印をつけた3要素を骨にして、短い箇条書きで書く。ここで覚えていたつもりの項目の穴が見つかる
  • 理由まで言えない項目を潰す:1日1つずつ。なぜそうするのかを一言で言えたら次へ

書き写すだけの期間を長く取らないでください。写す作業は、1問にどれだけの分量が要るのかを手で知るまでで十分です。

ara

自分の言葉で書いてみると、覚えていた文章のどこが理解不足だったかが分かります。そこが溜める項目です。

引き出しはNotionに溜めた|ノートから移した理由

私は計画関係・構造関係・空調関係などの頻出項目と、苦手な項目について記述を蓄積して、引き出しを増やしました。

はじめはノートに書き溜めていましたが、途中でNotionに移しました。出先でも繰り返し見返せて記憶に定着しやすく、更新もしやすいからです。

↓実際に私が溜めていた画面がこちらです(箇条書きの内容は非表示にしています)

Notionに溜めた計画の要点の引き出し。計画・構造・設備・環境負荷軽減・避難場所の分野ごとに、防火区画や基礎構造といった項目名の見出しで整理している

書き方は短く箇条書きで要点だけ。無駄な接続語は使わない。

溜めていた項目の一部を、分野ごとに1つずつ挙げます。資格学校で教わった内容を、私が自分の言葉で整理し直したものです。

分野私が溜めた項目なぜそう書けるようにしたか
計画面積の区画と、防火設備の設置の仕方防火区画する面積と、それぞれの防火設備を採用した理由。法規の理由がわかれば図面にも自信を持って書き込めます。
構造免震装置の種類と、免震層のクリアランス免震層がどれだけ動くかを数字で置けば、壁からどれだけ離すかを自分で決められる。令和7年の図で説明する設問は、ここから書きました。
設備ダクトスペースを空調機械室の直上に立ち上げる屈曲部が少ないほど搬送のエネルギーが減る、と理由まで言えると、機械室の位置を決めるときに迷わない
環境太陽光発電に蓄電池を併設する理由発電した電力を溜めて補助電力に回す、という一文が言えると、省エネと二酸化炭素削減の設問に同じ答えで対応できる
ara

ツールはNotionでなくてもかまいません。出先で開けて、書き換えやすいものであれば十分です。

本試験までの残り週数で、やることを1つに絞る

残りの期間に合わせて、記述にあてる時間とやることを1つだけ決めます。

本試験までの残り記述にあてる時間やること
6週間以上1日30分4分野の棚卸しと、解答例の3要素にマーカーをつける
4〜5週間1日30分解答例を見ないで、自分の言葉で書く。図で答える設問を一度描く
2〜3週間通し演習のなかで60分記述の所要時間を測り図面との照合を手順に入れる
1週間1日20分新しいことを足さない。溜めた引き出しを読み返す

平日は現場で帰宅が遅い方でも、記述はまとまった時間がなくても進められる部分です。私も繁忙期は月100時間残業しながら勉強していました。

図で答える設問の練習だけは、まとまった時間が取れる休日に寄せてもよいです。

▼製図試験のロードマップを別記事でまとめていますので、参考にしてください。

よくある質問

記述だけで不合格になることはありますか?

公式の合格基準では、「計画の要点等が完成されていないもの」が重大な不適合の例として挙げられています。空欄を残したまま提出することは避けてください。いっぽうで、内容の巧拙がどこまで判定に影響するかは公表されていません。

例文はいくつ覚えればいいですか?

数を目標にすることはおすすめしません。公式の模範解答が公表されていない以上、覚えた文章がそのまま使える保証はないからです。4つの分野で「理由まで言えない項目」を洗い出し、その穴を埋める順に進めてください。覚えた数より、理由を説明できる項目の数が本番で使えます。

独学でも型は作れますか?

3要素の型は、解答例が1冊あれば独学でも作れます。難しいのは、書いたものを人に読んでもらう機会が少ないことです。読んでくれる相手がいない場合は、書いたものを翌日に読み返してください。一晩置くと、書いた直後には見えなかった抜けが見つかります。

令和8年はホテルですが、ホテル専用の対策は要りますか?

問われる4つの分野は、課題が変わっても同じです。まずは分野の穴を埋めてください。そのうえで、課題文の留意事項に書かれた言葉(バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量の削減、セキュリティなど)を、記述の切り口として先に用意しておくと当日焦りません。

まとめ|計画の要点は「覚える量」ではなく「理由を言える数」

記述で手が止まる原因は、例文の数ではありませんでした。

公式の模範解答は公表されていません。だから勝負を分けるのは覚えた量ではなく、理由を説明できる項目の数です。

やることは、次の3つに絞れます。

  • 埋めきる:内容の質より先に、空欄を作らない速さをつくる
  • 型を1つに絞る:対象・対応方法・理由の3要素で、解答例を見ないで自分の言葉で書く
  • 1日1つ潰して溜める理由まで言えない項目に目星をつけ、短い箇条書きで出先でも見返せるように溜める

1つずつで十分です。4つの分野(計画・構造・設備・環境)から、理由まで言えない項目に目星をつけてみてください。

そこが決まれば、本試験までに固める内容も決まります。

ara

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

横向きの答案用紙Ⅱにシャープペンで書き込む手元と、奥に置かれた平行定規付きの製図板

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この記事を書いた人

一級建築士/一級施工管理技士。ゼネコン現場監督として8年従事後、激務に限界を感じて転職。一級建築士は学科2度合格・製図5回挑戦の末、受験7年目で合格。「資格を武器に労働環境を変えた」自身の体験から、建築・建設業界で働く方の「資格取得」と「後悔しない転職」を発信中。

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