【一級建築士 製図】一発アウトの正体|製図5回受験の筆者が公式基準でランクⅣを解説

一級建築士の製図試験について、「一発アウト」の条件を調べていませんか。

結論から言うと、試験元が「重大な不適合」として挙げているのは、たった4項目だけです。

ara

こんにちは、一級建築士のaraです。

私は製図試験を5回受験しました。合格までにランクⅢ、ランクⅣ (一発アウト)を2回ずつ受け取っています。

つまり「一発アウト」を身をもって経験しています。

ネット上には「一発アウト○選」「やってはいけないこと○個」といった記事がたくさんあります。

ですが、そのリストを暗記しただけでは試験には受かりません。 

なぜそう言い切れるのか。私自身の経験も交えて解説していきます。

この記事でわかること

・試験元が公表している「重大な不適合」4項目の中身

・ランクⅠ〜Ⅳの意味と、ランクⅢとランクⅣの決定的な違い

・過去6年分のランク別割合から見える「落ち方」の傾向

・ミスを減らす有効な手段について

目次

結論:公式が「重大な不適合」としているのは4項目

試験を実施している建築技術教育普及センターは、毎年「合格基準等について」という資料を公表しています。採点のポイント・採点結果の区分・合格基準がまとめられた資料です。

そこに「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」という項目があります。これがいわゆる一発アウト=ランクⅣの条件です。

試験元が挙げている4項目

令和7年の資料に書かれている内容は次のとおりです。

・要求図面のうち1面以上が欠けている、面積表が完成していない、または計画の要点等が完成していない

・図面相互の重大な不整合(上下階の不整合、階段の欠落など)

・その年に指定された要求室・施設等のいずれかが計画されていない

・法令の重大な不適合等、その他設計条件を著しく逸脱しているもの

この4項目だけです。

「一発アウト」条件は年によって変動する

では、「一発アウト」の条件とはなにか。

ネット上に挙げられている項目は、確かに実際に試験元が問題視してきたと思われる要素ばかりですが、知っておくべきことがあります。

センターは毎年、答案の状況を「ランクⅢ及びランクⅣに該当するもの」としてまとめて例示しています。どの項目がランクⅣで、どれがランクⅢなのかは区別して公表されていません

つまり「これは一発アウト、これは減点で済む」と断言できる公式の情報は、そもそも存在しません。

ネット上のリストにある「一発アウト」仕分けは、書いた人の経験や推測、資格学校からの情報に基づくものです。

実際、「高さ制限への適合が確認できる情報の未記載」といった項目が「設計条件に関する基礎的な不適合」として挙がったのは令和3年と令和7年だけで、他の年は挙がっていません。

ara

これだけ覚えておけば大丈夫、ではなく、先入観を持たずに課題を毎回よく読むことが肝要です。

「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」4項目を具体化

建築平面図の見落としやすい箇所を虫眼鏡で点検するイメージ。製図試験の重大な不適合チェック

では「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」の4項目を、実際の試験でどう起きるか具体化してみます。

① 図面の欠落・面積表や計画の要点の未完成

これは実質「時間切れ」です。

知識の問題ではなく、6時間30分という制限時間の中で手が最後まで動ききらなかったという話です。

初受験の方にとって、もっとも現実的な失格リスクだと思います。

▼作図スピードをあげたい方は下記記事も参考にしてください。

② 図面相互の重大な不整合

1階と2階で柱の位置が合っていない、階段が上下階で不整合といったケースです。

無柱空間を採用したり、階高が異なる場合は要注意が必要です。

ara

また以前は階段の段数間違いは減点程度でしたが、近年はかなり厳しく減点対象となります。注意しましょう。

③ 要求室・施設等が計画されていない

その年の問題文で指定された室を、図面に描き忘れるパターンです。

繰り返しになりますが、対象となる室の一覧は毎年変わります

ara

自分はミスをしないと思っていても意外と漏れることがあり、最終チェックでヒヤッとしたことが何度もあります。

④ 法令の重大な不適合

道路高さ制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難経路などが該当します。

ここで知っておいてほしいことがあります。

以前の本試験課題では、防火区画や避難経路の記載を求められない年もありました。

ところが年を追うごとに要求される条件は増え、厳しくなっています。

試験そのものの難易度が上がったというより、チェックの重要度が上がり続けているというのが、5回受験して感じたことです。

古い年度の対策情報だけを参考にすると、いま求められている水準を見誤ります。

なお、同じ法令項目でも年によって挙げられ方が変わるため、「これをやったら必ず失格」と単純化しないことです。

そもそもランクⅠ〜Ⅳとは何か

製図試験の結果は、点数ではなくランクで通知されます。

試験元による定義は次のとおりです。

ランク意味
⭕️ランクⅠ「知識及び技能」を有するもの(=合格)
❌ランクⅡ「知識及び技能」が不足しているもの
❌ランクⅢ「知識及び技能」が著しく不足しているもの
❌ランクⅣ設計条件及び要求図書に対する重大な不適合に該当するもの(一発アウト)

合格はランクⅠだけ。ランクⅡ以下はすべて不合格になります。

ランクⅢとランクⅣの決定的な違い

初受験の方がいちばん混乱するのが、この2つの違いだと思います。

ランクⅢは「図面としては成立しているが、内容の質が足りない」という評価であり、一方ランクⅣは、そもそも採点の土俵に乗らなかったという意味合いになります。

ara

一生懸命書いたものを、採点すらしてもらえずに失格になるのは悲しいですよね。

データが示す事実|ランクⅣは「珍しい事故」ではない

ランクⅣと聞くと、よほどやらかした人のように感じるかもしれません。

ですが、実際の数字をみると印象は変わります。

過去6年のランク別割合

試験元が公表している過去6年の数字を並べました。

年度ランクⅠ
(合格)
ランクⅡランクⅢランクⅣ
令和2年34.4%5.6%24.3%35.7%
令和3年35.9%6.3%26.9%30.9%
令和4年33.0%6.1%32.4%28.5%
令和5年33.2%2.1%22.1%42.6%
令和6年26.6%1.5%23.9%48.0%
令和7年35.0%1.6%53.7%9.7%

令和2年から令和6年までの5年間、ランクⅣは毎年およそ3割から、多い年には5割近くを占めています

特に令和6年は48.0%。受験した人のおよそ半数が、採点の土俵に上がる前に終わっていた計算になります。

対して直近の令和7年は、ランクⅣが9.7%まで急減し、その代わりランクⅢが53.7%まで跳ね上がっています。

一発失格になることは回避できても、減点が重なり合格に届かなかった人が大多数だったと読み取れます。

6年分を通して変わらない事実。それは不合格者のほとんどが、ランクⅢかランクⅣに集中しているということです。ランクⅡは多くの年で数%しかありません。

「あと少しで合格だった」という位置に留まる人は、実はとても少ないのです。

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ランクⅢ・Ⅳを確実に回避し、あとはランクⅡにならないように精度を高めることが、この試験を勝ち抜く基本方針になります。

【実体験】5回受験して学んだこと

製図板に向かう受験者の後ろ姿。4回の不合格を経て5回目で合格した筆者の実体験イメージ

私は製図試験に4回落ち、5回目で合格しました。そのときのランクと原因を公開します。

その上で、私の経験からこの試験のことを考えました。

受験回年度(課題)ランク原因
1回目令和2年(高齢者介護施設)ランクⅢ駐輪場の欠落
2回目令和3年(集合住宅)ランクⅣ高さ制限との干渉
3回目令和4年(事務所ビル)ランクⅢ動線の交錯
4回目令和6年(大学)ランクⅣ高さ制限との干渉
5回目令和7年(庁舎)ランクⅠ合格

※令和5年は学科試験に落ちたので、製図の受験がありません。翌年の令和6年に学科を通り、そのまま製図に進んでいます。

令和2年「駐輪場の描き忘れ」が、翌年なら一発アウト

令和2年の製図1回目、私は駐輪場を描き忘れてランクⅢでした。当時は「なぜ室を落としたのに失格ではないのか」と不思議に思っていましたが、令和2年の「重大な不適合」の一覧に、駐輪場は入っていなかったことが要因だとわかりました。

ところが翌年の令和3年の一覧には「駐輪場(1)」「駐輪場(2)」がはっきり明記されていました。つまり私がもし1年ずれて同じミスをしていたら、ランクⅢではなくランクⅣだったということです。

まったく同じミスなのに、年が違うだけで結果が変わるということです。

高さ制限で一発アウト(2回)

2回目と4回目、私は同じ理由でランクⅣになっています。高さ制限との干渉です。

1度目の失敗のあと、当然「次は気をつけよう」と思っていましたが、3年後にもう一度同じミスをしてしまいました。模擬試験では滅多にしないミスにも関わらずです。

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本試験では本来の自分を見失うといいますが、私がまさにそうでした。

なお令和6年は、ランクⅣが48.0%だった年です。私はその約半数のうちの1人でした。

▼今年の課題「ホテル」で法規がどう関わるかは、こちらで解説しています。

5回受験して分かった、落ちる人の共通点

私自身を含め、落ちた年に共通していたことがあります。

①自分が間違えやすいミスを把握できていない

②たまたましていないだけで、そもそもミスの種類を知らない

③時間が足りず、最後の確認を省略してしまう

※1つ目については、私自身も一発アウトの条件を知っていても、自分がどこで間違えるのかを把握できていませんでした。

※2つ目については、演習で一度も出ていないミスは、自分がそれをやる可能性にすら気づけません

自分だけのミスノートが有効

いつ・何を・何回・対策の4項目を記録する製図試験のミスノートのイメージ

ここまでで以下の3つのことがわかりました。

①公式はランクⅢとランクⅣ(およびⅡ)の仕分けを公表していない。

②重大なミス要件は毎年入れ替わる。

③落ちる人の共通点

つまり誰かがまとめたリストを暗記しても、そこに自分の弱点が載っている保証はないということです。

私が高さ制限で一発アウトだった年も、足りなかったのは知識ではありませんでした。

「自分はここでミスをする」という記録と、それを毎回必ず見る習慣のほうです。

ミスノートは「自分だけの弱点リスト」

ではどうすればいいか、私は自分だけのミスノートをつくることを強くおすすめします。

ミスノートとは、演習や模試で出たミスを自分のミス、他者のミスに関わらず記録しておくノートのことです。

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他者のミスも記録することで、ミスの種類を知らない領域についてもカバーできます。

チェックリストが受験生みんなに共通する確認事項なのに対し、ミスノートはあなただけの弱点リストになります。

記録するのは次の4点

①いつ(どの課題・どの模試か)

②どんなミスか

③何回目のミスか

④対策は

この中でいちばん大事なのが③「何回目か」と④「対策」です。

同じ項目に2回目、3回目と印が増えていったら、それがあなたにとっての一発アウト候補であり、いかにそのミスを防ぐかの対策が最重要となります。

▼ミスノートの具体的な書き方と、私が合格した年に実際に使っていたノートの中身は、別の記事で公開しています。

独学で気づけないなら、学校も選択肢になります

ここまで読んで、「自分で気づける自信がない…」と感じた方もいると思います。

正直に言えば、私も自分ひとりでは気づけませんでした。

製図試験の怖いところは、自分の図面のどこが致命傷なのかを、自分では判定できない点にあります。

私は5年で3つの学校を渡り歩きました。

▼各学校の費用感や向き不向きは別の記事にまとめています。

▼あわせて、チェック時間を確保するための作図速度に直結する道具についても書きました。

よくある質問

自分がどのランクだったかは分かりますか?

はい。合格発表後に通知される結果で、ランクを確認できます。次年度の対策を立てるうえで重要な情報になります。

ランクⅡはランクⅢより合格に近いということですか?

区分としてはランクⅡのほうが上位です。ただし該当する人は年によっては数%と少なく、多くの受験者はランクⅢかランクⅣに分かれています。

まとめ

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 試験元が挙げる「重大な不適合」は4項目だけ
  • センターはランクⅢとランクⅣの仕分けを公表していないため、「これは一発アウト」と断言できる公式情報は存在しない
  • 不合格者の大半はランクⅢかランクⅣに集中している
  • 自分のミスノートをつくることが重要であること
ara

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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この記事を書いた人

一級建築士/一級施工管理技士。ゼネコン現場監督として8年従事後、激務に限界を感じて転職。一級建築士は学科2度合格・製図5回挑戦の末、受験7年目で合格。「資格を武器に労働環境を変えた」自身の体験から、建築・建設業界で働く方の「資格取得」と「後悔しない転職」を発信中。

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