こんにちは、一級建築士のara です。
「エスキスが時間内にまとまらない」
「作図中に想定外の問題が発生してパニックになる」
「そもそもエスキスを始めるのが苦痛……」
受験生の皆さん、こんな悩みを抱えていませんか?
実は私も以前はエスキスが本当に苦手で、試験のたびに「どうすれば合格ラインに届くんだ」と頭を抱えていました。
しかし、5回の製図試験を経験してたどり着いた答えは、「シンプルなエスキスこそが、最強の武器である」ということです。
この記事を読めば、エスキスへの苦手意識が消え、チェック時間に余裕が持てるようになります。
合格への最短ルートを一緒に確認していきましょう。
シンプルなエスキスが、課題を易しくする
エスキスの流れは、どの資格学校でもおおむね同じです。
- 敷地条件の整理
- 高さ・へりあき検討
- ボリューム・階振り分け
- バイコマ検討(ゾーニング)
- 1/400検討(プランニング)
言葉にすると簡単ですが、この検討が2時間で終わる人と、4時間かけてもまとまらない人がいます。
作図がどれほど速くても、エスキスが破綻すれば合格は遠のく……それが製図試験の厳しさです。
私が5回の受験で確信したのは、「凝ったプランを捨て、シンプルな思考に徹すること」が、合格への一番の近道だということです。
「シンプルなエスキス」具体例5選
シンプルなエスキスとはなにか。
「シンプルなエスキス」とは、奇をてらった解法をせず、どの問題にも通用する汎用性の高いルールを徹底することです。
私が意識していた5つのポイントをご紹介します。
①コア位置はメイン出入口の近くに、廊下は「直線」で
階段とエレベーター(コア)の位置は、計画の成否を分けます。
ここで質問です。
下記のコア位置について、1Fはどちらの方が計画しやすいでしょうか?
コア位置①(1F)↓

コア位置②(1F)↓

どちらでも計画はできますが、コア位置①(1F)のほうが、メイン出入り口からの動線が短く、エントランス空間が整形にとれると思います。
では、同じコア配置で2Fの平面配置を見てみましょう。
コア位置①(2F)↓

コア位置②(2F)↓

※2Fにはどちらもメイン出入口上に吹き抜けを設けています。
両者を比較したときどちらが計画しやすいか。
おそらく多くの人がコア位置②(2F)と答えると思います。
なぜこちらの方が計画しやすいか、ポイントは2つあります。
①メインコアと管理コアを繋ぐ動線が直線であること
②2Fホールがコンパクトで、居室の面積を効率よく確保できること
エスキスを進める際、いかに簡単に効率よく計画できるかでエスキスにかかる時間も変わってくるため上記のポイントは意識をしておくといいです。
②建物へのアプローチは「長辺入り(平入り)」を基本にする

これは令和6年の標準解答例ですが、建物へのアプローチは道路に面する妻側からとなっています。
標準解答例は合格レベルの受験生の平均的な解答例というものなので、多くの方は妻側アプローチで考えたのでしょう。
ですが妻側から敷地に入ったとしても、「平入り(長辺)」で考える癖をつけましょう。
なぜなら平入りにすると1Fの廊下やホールをコンパクトにまとめやすく、要求室の配置が格段に楽になります。


現に私の受講していた製図クラスでは、多くの人が妻入りではなく平入りとしていましたが、問題なく合格していました。
またいつも通りのコア位置、計画ですすめられるので、課題条件によって左右されない手法です。
へりあきが3m以上とることができる問題であれば、敷地内を通って平入りで建物にアプローチで計画することをおすすめします。
③管理動線と利用者動線は分けて考える
ゾーニングや動線は、指定がなくても分けて考えたほうがよいです。
例えば、図書館で図書の搬入ルートと利用者の動線が交錯した場合はそれだけで大幅な減点となります。(おそらくランクⅢです)
またセキュリティの観点からも指定があれば減点をされるので、普段から動線を分ける癖をつけておくべきです。


上記は令和7年の標準解答例になりますが、課題文にて『来庁者と職員・議員等とのセキュリティを踏まえた動線計画』と指定があったのでマーキング箇所に扉を設けて動線を分けている例です。
動線やゾーニングを分けるのに慣れていないときは、難しく感じるかもしれませんが普段から意識をしていればそんなに難しくないですし、いざ指定されたときにもいつも通り対処ができるのでおすすめです。
問題の難易度がとても難しく、セキュリティの指定がなければ多少崩して対応すればよいだけです。
④ 吹き抜けは「外壁面(壁際)」に寄せる
吹抜け指定が求められることもよくあると思いますが、吹抜けの位置によってエスキスの難易度は結構変わります。
建物中央に吹抜けを設けた場合と壁際に設けた場合の比較をしてみましょう。




吹き抜けを中央に設けると居室が吹抜けに圧迫されて、少し計画しづらくなります。
さらに吹き抜けが2スパンと大きかった場合




この場合、プランニングの難易度が跳ね上がります。
外壁面に吹き抜けを設けた方が採光も取りやすくプランを崩さずに済みます。
あきらかに計画しやすいので、壁際に吹き抜けは設けましょう。
⑤PC梁は諸刃の剣。指示がなければ使わない。
柱をなくし、スパンを飛ばすことができるPC梁は計画をする上でとても便利だと思います。
ですが、PC梁上に柱を計画する「丘柱」などのミスを誘発しやすく、一発失格のリスク(諸刃の剣)があります。
またPC梁は梁せいが大きいので、天井懐を確保するため階高を大きくする必要がでてきます。
高さ制限がキツくなることもあるため、任意でのPC梁使用は避けた方がよいです。
最強の思考を手に入れるための「訓練法」
本試験では、難解なパズルを解く能力は求められていません。
新しい課題の表現であったり、受験生が?となるようなサプライズで失格やミスリードを誘発させるようなことが多いように思います。
大切なのは、「基本課題を確実に、シンプルに解き切る力」です。
そのための練習法を3つお伝えします。
①スパンを変えて、同じ問題を「解き直す」
一度解いた課題を、今度は別のスパン割りで解いてみてください。
作図はせず、1/400のエスキスまででOKです。
同じ条件でも別のパターンを試すことで、エスキスの「引き出し」が爆発的に増えます。



エスキスに対して苦手意識があった私にとって、とても良い勉強法でした。
②あえて「妻入り」などの難しいパターンを試す
前述にて建物へのアプローチは基本は「平入り」ですが、練習ではあえて「妻入り」で解いてみましょう。
あえて解きづらい状況を経験することは、
・プランニングの柔軟性が養われる
・本試験でのサプライズにも動じなくなる
上記のようなメリットがあるので、ぜひ挑戦してみてください。
③エスキスの各段階の時間を記録する
エスキスの各段階において、人それぞれ苦手な箇所や無駄な検討などがあることが多いです。
自分が「どの段階で迷っているか」を可視化してください。
- 敷地条件の整理
- 高さ・へりあき検討
- ボリューム・階振り分け
- 1/1000検討(ゾーニング)
- 1/400検討(プランニング)
・階振り分けに時間がかかっているのか、
・1/1000に時間がかかっているのか
弱点がわかれば、対策はシンプルになります。
各段階ごとの時間を常に意識しながら、1/400完成まで2時間で終わることを目標、時間を意識しましょう。
シンプルなエスキスは「作図」を楽にする
エスキスがシンプルであることのメリットは問題が解きやすくなるだけではありません。
エスキスがシンプルだと作図がめっちゃ楽になります!
複雑なプランを一生懸命ひねり出しても、作図中に柱位置を間違えたり、エスキス用紙を何度も見返して時間をロスしたりしては本末転倒です。
一級建築士試験は設計コンペではありません。
「与えられた条件を、ミスなく、最低限満たしているもの」を提出すれば合格できる試験です。
シンプルであればあるほど、ミスは減り、完成度は上がります。
まとめ エスキスがシンプルであることは、合格において「最強」の戦略です。
ここまでエスキスがシンプルなことのメリットを3つご紹介しました。
最後にまとめです。
・シンプルなエスキスが、課題を易しくする
・基本課題の徹底こそが、合格への最短ルート
・エスキスの簡略化は、作図のスピードアップに直結する
この記事が、あなたの受験勉強の突破口になれば幸いです。



最後までお読みいただき、ありがとうございました!



コメント